(つづき)
Wikipediaでは、異なる意見を持つユーザ同士で書き換え論争が見られますが、企業内でも
こういったことが起きるのか、また論争が起こったときにどのように対応すべきか、パネラの
方々に伺いました。

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澤山パネラからは、Wikipediaでは冷静になってもらうために記事の保護やノートページでの
議論という別の場所に移すが、企業の場合には裁定者が必要となるのではないか、という
ご意見をいただきました。
Jimmyさんからも、うまく書けているか、公平に書いているか、何が議論になっているかなど
の点を全員が把握できることが重要。論争はクールオフの場でたいていは解決できるので、
企業の場合にはむしろ論争によって異なったアイデアが会社の中にあったことが明らかになる
こと、そこからディスカッションが進んでいくことがメリットとなるという意見をいただいています。
また早野パネラは、ディスカッションのプロセスと結果がWikiの中に書かれること、それを会社
全体でフラットな形で実現できること、それによりフェアな形で合意形成できることをメリットとして
挙げています。その他に客席からいただいた意見として、社員にとって社内で情報を共有する
メリットがないと、同じグループ内で情報を載せる、載せないで論争が起こる場合もあるとのこと
でした。
事務局では、基本的には一つの結論しか表示されないWikiで起こりがちな書き換え論争を懸念
していたのですが、パネラの方々およびJimmyさんは、
・隠れていた(コンセンサスがあると誤解していた)社員間の「ズレ」が明らかになる。
・その「ズレ」について、役職や部署によらないフラットな場で合意形成できる。
というように、それをメリットとして捉えていました。
最後にJimmyさんから、Wikiの企業への導入に関しては、まず実験し、結果を見ることが重要、
というコメントをいただきましたが、このようなツールに関しては、リスクを懸念してネガティブに
なるのではなく、事なかれ的な日本文化に埋もれている企業の潜在的問題を掘り起こし、
社員全員参加による合意形成により解決するというWeb2.0的な方向性として積極的に導入する
ことが重要と思われます。
以上
(つづき)
Wikiの企業での利用については、CMS(コンテンツマネジメントシステム)や、新製品企画時の
製品名や広報資料のチェック、自社で取り扱っている製品・サービスの社内周知などに利用
できると考えられます。これについて、パネラにご意見を伺いました。

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早野パネラからは、きちんとドキュメント化されていない事務処理について、社員が自分の行った
手順をベースにWiki上でマニュアル的に整理し、他の社員に参照させれば、業務効率化のメリット
も出るという提案がありました。また、商品企画などで意見を聞くために利用するには、誰に公開
するかという点で管理者の設置やアクセス制御機能などのセキュリティが必要となるという意見も
いただいています。
セキュリティの観点では、稲田パネラからは、紹介いただいたWiki製品ではIPによるアクセス制御
を可能としているということでした。また、新井パネラからは、Wiki本体だけでなく、Wiki内の個々の
情報レベルでアクセス制御を考えなければならないというご意見と併せ、大企業におけるP2Pでの
情報交換があっても面白いのではないか、というアイデアもいただきました。澤山パネラは、自身が
発信者になりうるという前提での社員教育が必要というご意見もいただいています。
これに対し、Jimmyさんからは、企業内で実装する場合、管理者やIT部門はセキュリティが過剰に
ならないように留意すべきという意見をいただきました。また、会社としてWikiで辞書的な機能を
構築する場合には、コンテンツが溜まっている既存のWikiをカスタマイズして導入することも有効
であるとの意見もいただいています。
来場者の方からは、プロジェクト単位で人が3~5年で出入りする環境では、次のプロジェクトに
流用できるノウハウや共通辞書といったアーカイブが必要で、Wikiはそのような利用方法に有効
であるというご意見、特定の事業所を閉鎖する際に、その事業を本体で継続する場合のツール
として有効、といったご意見もいただいています。
以上より、Wikiは、
・社員による情報共有やマニュアル、辞書の構築および参照に利用できる。
という「社員の社員による社員のための情報共有ツール」といったWeb2.0的な性格に加え、
・事業やプロジェクトの立ち上げや再編時に、過去のWikiコンテンツを利用できる。
というアーカイブ的利用により、節目による社内のドタバタを軽減し、スムーズな移行をもたらす
効果もありそうです。
また、Jimmyさんから指摘があったように、
・起業時や企業の新規事業立ち上げ時に、第三者が作成した関連のWikiコンテンツを
アーカイブとして利用できる。
という効果からはビジネスの匂いもしてきます。企業にWikiを導入する際に、他の企業で培った
ノウハウやコンテンツを移植する「ベストプラクティス」的なSIビジネスも想定されそうです。
(つづく)
遅くなりましたが、第6回SNS, blog, RSS, Wiki等を活用した業務改革研究会の
パネルディスカッションの結果概要を報告させていただきます。
今回はパネラとして、事例紹介をいただいたウノウ社の新井さん、Wikipedia日本語版管理者
の澤山さん、グローバル・アイディー社の稲田さん、NECの早野さんにご参加いただき、
「WikiとWeb2.0的ワークスタイル」について、ディスカッションしていただきました。
また、Wikipedia創始者のJimmy Walesさんにも適時コメントを頂く形としました。
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まず、早野パネラから「Wikiと信用モデルについて」というプレゼンをいただきました。
緩やかな信用モデルによる参加の促進や、情報の「出し手」と「受け手」をリンクさせる
ツールとしてのWikiへの期待についてご説明いただきました。
次に、稲田パネラからは、Wikiを利用したグループウェア「Inbiz2.0」をご紹介いただきました。
Wikiの概念を利用してワードと同じ感覚で誰でも使える仕組みや、日報、プロジェクト管理、
顧客管理などの機能の編集がシンプルなことが特徴とのことでした。
澤山パネラからは、運営にあたっての苦労やWikipediaのユーザとしての来場者への
要望などをお話しいただきました。なお、情報の「出し手」と「受け手」の課題に関しては、
澤山パネラから、Wikipediaでは各記事にノートと呼ばれる「ディスカッションページ」があって
情報に対する要望を提示可能であること、また記事が書かれていない情報は赤い字で
表示されることから、それらの機能をうまく活用することで対応可能ではないか、との
ご意見がありました。
さて、ディスカッションではまず、Wikiの特長として、「ブラウジングが容易」、「カスタマイズも
容易」、「履歴が記録されるため、何かあればすぐ元に戻せる」という点を挙げ、これにより
企業内での情報共有が促進されるかという質問をさせていただきました。

これに対して新井パネラからは、実際には社員がWikiに書き込んでくれたらラッキーという
レベルであり、Wikiを入れるだけで情報が共有されるものではない、ただし社内ではWikiの
記事の向こう側に誰がいるかわかるため、社内コミュニティ内の信頼関係により利用が
広がっていくこともある、という意見をいただきました。
また澤山パネラから、コミュニティの形成という観点では、誰かがWikipedia上で呼びかける
ことにより記事の内容が増えていったり、リンクを張りたいなどの要望が増えたりして広がって
行くパターンが多いとの意見がありました。
稲田パネラからは、企業内でのWiki利用においては、まだみんなが編集するというところまでは
達していないため、現状では辞書としてルールを決めて運用することが重要ではないかという
ご意見もいただいています。
客席におられる方にもWikiの特長、メリットについて伺ったところ、情報を探す時間の短縮に
有効という意見がありました。情報をファイルサーバーにファイルとして格納しているが、
大規模になっていくとフォルダの構成が複雑になり、必要な情報を探すために時間がかかる。
大企業になるとそのための時間を社員数にかけると無視できない数字になるが、Wikiはそこを
削減できるのでは、というお話でした。
また、Jimmyさんからは、Wikiは企業におけるコラボレーションに役立つ要素として、迅速に
情報共有環境を構築できることや、Wikiの履歴機能を活用した変更点のモニタリングなどを
挙げていただきました。
次に、Wikiはイニシャルコンテンツを書く人がいて初めて利用と参加が進んでいくものであるが、
それは現状としてどのように行われているか、またどのようにすればイニシャルコンテンツの
作成を促すことができるかについて、パネラに伺いました。

これについて澤山パネラからは、イニシャルコンテンツによりその後のコンテンツのイメージが
見えてくれば、実際にみんなが参加する流れが起こるということでした。稲田パネラからは、
最初は管理者が書くか、ルールを決めて運用していくことが必要というご意見をいただきました。
以上のように、現状ではWikiは企業の業務を効率化する可能性はありますが、導入するだけで
社員全員が参加してコンテンツを作るようなWeb2.0的な効果を得られるものではなく、
・情報を出してもよい社員と情報が欲しい社員とをWikiでいかにつなげるか
・Wikiを通じて社内のコミュニティを広げ、その結果Wikiも充実するというサイクルを
いかに回していくか
・方向性や完成イメージが見えるイニシャルコンテンツを書くノウハウを、いかに社員に
持たせるか
といった課題をクリアする必要があるようです。
(つづく)