Web2.0
私が所属するNEC 企業ソリューション企画本部では、Web2.0時代の新しい情報共有・コミュニケーションの仕組みとして全社共通のプラットフォームを構築するべく、2年近く前からイントラブログ・SNSを実践してきています。参加者達は、このブログ・SNSの活用により、非常に貴重なエクスペリエンスを積み続けてきており、ネットの世界で起こっている新しい潮流のミニュチュア版をイントラネット内で実体験することにより、素肌感覚で新しい潮流を感じとりはじめています。
このことは、enNetforumの第2回「SNS, blog, RSS, Wiki等を活用した業務改革研究会」(2006年3月2日)でも「社内ブログ活性化奮闘記」としてご紹介させていただきましたが、その後の状況の変化や新たに行った試みなども含めて、この場で少しずつご紹介させていただこうと思います。
【導入時期・目的・利用ソフト】
導入したのは2004年の9月で、ブロードバンドソリューションの新事業を企画開発する部署を中心に40人程度の有志で実験的に利用を開始しました。当初の導入目的はブログ・SNSとその関連技術の実証実験です。某ベンダーのご厚意でα版のソフトを試用目的で無償提供していただき、それを今日にいたるまで利用し続けてきています。このソフトは、IDとパスワードによって利用者の認証を行い、IDを持っていないと閲覧をすることも出来ませんでしたので、ブログというよりはSNS的な側面の大きいソフトです。
私は、ブログは「不特定多数に対する情報公開」なのに対して、SNSは「特定の相手とのコミュニケーション」と整理して考えていますが、ツールという観点からすると、最近はブログソフトのベンダーもSNS的な機能を組み込みはじめていて、それを「ブログ」と称して販売している場合がありますので、明確な線引きをするのは難しいですし、それにあまり意味があるとも思えません。ここでは、敢えて区別をせずに、ブログ・SNSとひと括りにして扱うようにしたいと思います。
【運用と管理】
サーバの運用はコストをかけずに完全にボランティアベースで行ってきました。コンテンツのバックアップを行うような体制もありませんでしたので、ディスクがクラッシュでもすればすべてのブログ記事が消滅してしまう、そんな状況で1年以上もの間、運用を続けてきました。ブログのIDを登録したりグループを作ったりすることの出来る「管理者」は、常に全利用者の1割程度存在していて、それらの複数の管理者達による”ゆるい”運営を行ってきた、というのが一つの特徴だと思います。
【利用者の増加、利用の活性化】
私自身は、2005年の5月に人事異動があり、それ以後このイントラブログ・SNSを活性化する羽目に陥ったのですが、当初の利用者数は100名程度で、オープンなブログとしては一日に1件の投稿があるかないかの開店休業状態、一部、クローズドなグループブログで情報共有に使われているという程度の利用状況でした。その後、イントラブログ・SNSを活性化するために様々な施策を繰り返した結果、クチコミで徐々に利用者が増加し、1年間で500人くらいの新しい利用者が使い始め、その1割強がアクティブな利用者として積極的な記事投稿を行うようになっています。
特筆すべきことは、利用者の増加は全てクチコミで行われており、トップダウンで業務として強制的に使わせるというような支持は一切行われていないということであり、この辺はmixiやgreeなどネット上のSNSの広がりと共通点があるかもしれません。このような現象は、日本の大企業の中ではこれまではほとんど考えられなかったことなのではないでしょうか。enNetforumの研究会でも、珍しい事例ということで、多くの方々に関心を持っていただけたようですので、今後このブログ上でも出来る限りオープンに情報公開をしていきたいと思っています。
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Web2.0
アメリカの心理学者マズローの欲求段階説には、実は6段階目があって、それは「コミュニティの発展」だったという説があります。
コミュニティ発展欲求(Need for Community Development):
地域社会や国家そして地球全体など、自分が所属するコミュニティ全体の発展を望む欲求
皆さんご存知だと思いますが、マズローの欲求段階説は「人間の欲求は低次元のレベルから始まり、段階を経てより高次元のものへと昇華されていく」というもので、下位の欲求が満たされてはじめて上位の欲求を感じるようになるのだそうです。これまで5段階の欲求として提唱されていて、「自己実現の欲求」が最高位の欲求として知られていました。しかし、「マズローは晩年になってから実は6段階目を付け加えようとしていた」ということをマズローの周囲にいた人が最近になって証言したのだそうです。
敢えて6段階目をマズロー本人が発表しなかったのは、当時の冷戦下で「共産主義者」のレッテルを貼られることを恐れたからだそうですが、詳しいことは、
・海上周也さん「コラム「研究員のココロ」
・国生理枝子さん「マーケティングフォーラム」
などでも紹介されていますので、ご参照いただければと思います。
この6段階目の欲求説を「本当にマズロー自身が言ったのか?」という真偽はともかくとして、私自身は結構当たっていると思うので、信じようと思っています。つまり、自己実現をした個人が次に望むことは、自分が所属するコミュニティの発展であり、そのコミュニティが発展できるように貢献をしていくのだろうと私は思います。
食べることさえままにならない状態では、周囲のことなど構っていられないのは当然のことだと思います。会社に貢献するのは地位や評価を上げて少しでも多く収入を得られるようにするためだという考え方が日本の高度成長を支えてきた世代の行動原理となっていたのだろうとも思います。しかし、ある程度豊かな世の中になった今日、そんな死ぬほど働かなくったって食うには困らないし、会社に忠誠を尽くして一生を捧げるというような時代ではなくなってきています。「人は何のために働くのか?」とか、「会社や組織とどういう関係を保っていけば良いのか?」などと疑問を持ち始めている人達は多いのではないでしょうか。
このコミュニティ発展欲求がインターネットというインフラと結びついたものが、オープンソース、マスコラボレーションといったWeb2.0の潮流となって現れているのだと私は考えています。オープンソースコミュ
ニティに参加し、報酬をもらわずにプログラミングを行うハッカー達は全世界で300万人いると言われています。国内のSNS利用者は1年間で6.5倍に増加しているそうです。時間・場所といった物理的な制約が取り去られたことにより、不特定多数無限大の人達による果てしなく巨大なコミュニティが発展し、そこでは日々ワクワクするようなエクスペリエンスをすることができる。それがWeb2.0の世界なのでしょうね。
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Web2.0
ネット上の有名ブロガーの方々から、「ブログを書くと運が向いてくる」というような話を良く聞きます。私の周辺でもこの1年間かなりアクティブに社内ブログを使ってみて、この説はアクティブユーザの間では納得感が大きいと話し合っています。分からない人達にブログの良さを説明するには、「運が向く」という言葉は分かりやすいと思いますが、この話は実は「運」という言葉だけで済まされてしまう現象ではなく、実はWeb2.0の潮流の本質をついているのではないかと私は考えています。
はてなの近藤さんが書かれている「ブログで人材採用」の話を例に取ってみましょう。私の同級生の中島聡さんも、以前、「就職・転職活動にブログを利用すべき時代が来ている」で興味深い記事を書いていましたので、まずはご一読いただれば幸いです。
学生の側からしてみれば、
「ブログを書くようになってから、だんだん運が向いてきてさ、希望する会社に就職出来ちゃったよ。
社長がたまたま僕のブログを読んでくれたらしくてさ。」
ということなのだろうと思いますが、実は、ベンチャーの社長さん達は応募してきた学生のブログに目を通して採用するかどうかの参考にするのがかなり常識になってきているという実情があります。中小、あるいはもしかすると大企業の採用担当者もそうなりつつあるか、近い将来、そうなってくるかもしれません。「価値のある情報を発信する」ということが、就職市場では一つの評価基準であり、その発信された情報から浮かび上がってくる人格がもっと重要な評価対象となります。これまでは、それが就職面接という限られた時間でしかできなかったものが、今後ブログなどのツールにより、より多くの情報を集めて、それらをベースに評価をすることがますます簡単にできるようになって行くだろうと思います。
最近は、同じことが企業の中でもがどんどん起こり始めており、自分が関わっている業務の内容や、これからやりたいと思っていることなどについて社内ブログに情報発信をし続けていると、周囲に色々な人たちが集まってきてソーシャルネットワークが出来上がり、どんどん仕事がやりやすくなってきたりしています。そのこと自体がまた周囲からの評価を高めることになり、それまで認めてもらえなかった提案が通るようになったり、一緒に仕事をしてくれる仲間が増えたりして、正のサイクルが生まれたりします。ブログを巧みに使っている企業では、企業対企業や企業対顧客の関係でも同じことが起こっていることに気がついているはずです。これからは、どんどん加速していくのではないでしょうか。
私は、「ブログを書けば書くほど運が向いてくる。」と思っています。本当に価値のある情報が10個に1個しかなかったとしても、まず、継続的に情報を発信し続けるということが、自分の価値を高める。それがブログの世界だと考えています。昔は情報を持っていること自体が大きな価値でした。情報そのもののコストが高く、「対価を払わなければ情報は渡さないよ」という人の周りにたくさんの人が集まってきました。多くの宗教もそういった価値のある情報をコントロールすることにより発展してきたと聞いたことがあります。
しかし、インターネットがそれを変えました。世界中の人がネット上にどんどん価値のある情報を無償で発信するようになり、今はほとんどどのような情報もネット上で探せるようになってきました。情報のコストは劇的に安くなりました。
「対価を払わなければ情報は渡さないよ!」
などと言えば、
「いいよ、他から入手するから。ネット上で探せば大抵のことは分かるからね。」
と言い残して、集まっていた人々は離れていってしまうことになります。価値のある情報を豊富に持っていても、「忙しくて暇がないから」というような理由で情報発信をしない人についても同様です。
逆に価値を持つのは、「無償で、継続的に情報発信をし続ける人」です。その人の「そばにいてウォッチしていれば、他の人よりも早く価値のある情報を入手できる」というわけです。だから、情報を入手できるスピードというのが、重要なファクタになります。いち早く価値のある情報を入手するためには、コミュニケーションが必要になります。Give & Takeの世界ですから、コミュニケーションが活発になることにより、周囲に集まってきた人達から逆に価値のある情報が集まってきて、そのサイクルがどんどん増幅されていくでしょう。継続的に情報を発信し続けることにより、周囲に強力な人間関係が出来上がり、ソーシャルデータベースが構築されていきます。まさにWeb2.0の世界ですね。
こういったことが、「ブログを書くと運が向いてくる」カラクリなのではないかと私は思っています。
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Web2.0
ネットの世界で起こっていることは、自分で実際に使ってみて、体験してみなければ本当に理解できたことにはならないのではないかと感じています。お店の店頭で売っているリアルな商品であれば、それを実際に手にとってみて、概観を見て、お店の人に説明を聞いたりして、何となく分かった気にはなるのですが、ネットの世界は、それがパソコンの画面などを介してバーチャルの世界に自分から入り込むことで体験することができるわけです。
先日、とあるセミナーで講演者の方が300人の聴衆に「この中でWeb2.0という言葉を聴いたことがある人は?」と聞いたところ、ほとんど全員が手を上げたのですが、「それでは、Web2.0ってどういうことだか分かっている人は?」と質問しなおしたところ、手を上げたのは私を含めて2人だけでした。その瞬間は少し驚いたのですが、聴衆の大半の方が年配の方々だったことから、「この人たちはきっとブログなんて書いたことがないんだろうな。。。」と思い、妙に納得してしまいました。
最近、私の周辺でも「Web2.0について教えて欲しい。」というような方が次々に現れるのですが、Web2.0を取り上げたネットの記事や雑誌の記事を断片的に読んでもみても、そこに書いてあることは理解できるのだけれど、結局Web2.0ってどういうことなのか良く分からない。ましてや、自分の関わっているビジネスにどういう影響を及ぼすのか、あるいは積極的にWeb2.0的な活用をすることによって、どういう効果があるのかはさっぱり、という感じのようです。
そこで、まずWeb進化論を熟読してみます。あるいは、Web2.0 Bookとか最近は色々な解説書が出始めていますから、それらを片っ端から読んでみます。「そうか、本当の変化はこれから始まるのか。」と何となく分かったような気がしてくるかもしれませんが、実はまだ何も分かっていません。自分で使ってみていないからです。「いや、Googleのサービスとか使ったことあるよ。」と言われるかもしれませんが、違います。ブログを色々と読んでみます。SNSに参加してみて、どんな人がどんなことを書いているのか一通り読んでみます。「ふーん、なるほど。日記に対して、他の人が意見を言ったりしてるのか。」しかし、ここまで来ても実はまだ何も分かっていません。「自分から情報発信する」といことを体験してないからです。「コメントとトラックバックの違いって何だか良く分かんないや。」という方は結構多いのではないでしょうか。
自分でブログを書き、コメントされ、トラックバックされ、また自ら他の人のブログにコメントを書いたりトラックバックをしたりしてみてはじめて、この世界で何が起こっているのか、ブログやSNSでどういういいことがあって、どんな問題が起こるのか、ということが分かってくるような気がします。RSSにしても、Wikiにしてもそうです。人から説明を聞き、解説書を読んだだけでは、実はまだ何も分かっていないのだ、と考えた方がきっと正しいのではないでしょうか。
Web2.0を特徴づけるキーワードとして、「Rich User Experience」という言葉があります。リッチなユーザ体験。最近、私胃が最も気になっている言葉です。もちろん、O'reillyの定義した「Rich User Experience」は、「Javascript、DHTML、AJAXなどの技術により、クライアントサイドでリーッチなユーザインタフェースを持つアプリケーションを開発者が簡単に実装することが出来、それを利用者が誰でも使えるようになる」というような技術的な話なのですが、私は、もっと広義の、そしてもっと重要なRich User ExperienceがWeb2.0の世界にはあり、それを自ら進んで体験していこうとする人と、「日々の業務が忙しく、とてもそんなことはやってられない。」と目を閉ざしている人との間には、どんどん大きな差が広がっていくような気がしてなりません。
そして、その自ら進んで参加し情報発信をしていく人達のアウトプットの集合が、ソーシャルデータベースとして非常に大きな価値を持つ。そのソーシャルデータベースをまた多くの利用者が使って、新しいものが次々と生み出され、そこに正のサイクルが生まれ、更に素晴らしい世界が広がる。Web2.0とはきっとそういうことなんだろうな、と最近は感じています。
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