2006年06月
ブログにしても、SNSにしても、従来のグループウェアやその他のナレッジシステムにしても、システムを導入しただけでは使われません。便利な機能がたくさんあるという理由だけで、これらのシステムが普及していくなんていうことは絶対にありません。企業で情報システム部門がシステムを導入し、上司が「便利だよ。さあ、皆、使って!」というだけではイントラブログは広まりません。そう簡単に利用者が情報発信をしないからです。
情報発信をしない理由はいくつかに分けて考えることができると思いますが、少し考えてみましょう。
◆情報発信する環境がない、技術がない
これは、ブログのようなシステムを導入することである程度解決できるかもしれません。従来のホームページのように、HTMLなどという言語を覚えて使いこなさなければいけないということはなくなりましたから、ブログを使えば初心者でも簡単に情報発信できるようになります。しかし、逆に言えば、システムの導入で解決できるのはそこまででしょう。
◆情報発信している時間がない
一口にブログを書くと言っても、ネタ探しから始まり、投稿する内容の構想を頭の中で練って、それを人に読まれても恥ずかしくない文章として構成するのも結構時間が掛かる作業ですし、投稿し始めたらし始めたで、コメントやトラックバックをチェックし、それに返信するなどの対応を考えると、かなりエネルギーが必要な仕事になります。
元々情報を持っていないような人は、そもそも発信できるネタがないのは当たり前ですが、そういう発信できるような情報を豊富に持っているような人は例外なく忙しいので、情報発信のためにエネルギーや時間を割くことができないのではないでしょうか。皆さん、いつも超忙しい自分の上司が考えていることを全て吐き出してくれれば部下は楽になるのにな、忙しい上司の手助けもできるのにな、なんて考えたことはないでしょうか?
◆情報発信するテーマがない
これは、情報発信できるネタがない、という話にも通じるのですが、ブログを書くとき、人は皆そこに一貫した何らかのテーマを設けようとします。あるいは自分のネット人格を最初に作り上げようと考えたりします。まず、ブログを作成するとブログのタイトルを決めなければならないのですが、そのタイトルによってそのブログのテーマ性みたいなものがある程度決められてしまいますよね。例えば、「☆★事業に関するブログ」というようなタイトルを設定すると、それ以外の仕事の話は書きにくくなってしまうわけです。
企業内のブログですので、とうとうと趣味の話だけを書き続けるわけではないのですから、何らかの業務に関わるテーマを設けようとするわけですが、ここをあまり狭く絞りすぎるとすぐにネタが尽きてしまい、情報発信が続かなくなってしまいます。皆さんそれぞれ色々な種類の仕事をしているわけですから、ブログ全体のテーマは自分自身ということで、そこから先はカテゴリみたいなものををうまく使い分ければいいのではと思います。
つまり、自分のブログ全体のテーマとしては、「私はこういうことを考え、こんな仕事をしている人間なのよ。みんな見て!聞いて!」くらいに考えれば少し情報発信しやすくなるかもしれません。
「アカウントをもらったけど、勇気が無くてまだ書いていません」みたいな話を良く聞きますが、初投稿の敷居がやはり高いという人は多いようです。あまりにカッコを付けすぎて、1つの自己紹介記事で自分を表現しようとしすぎているのかもしれませんが、そこを気にするのは投稿者だけで、読む人から見れば、過去の記事なんてすぐに流れていって忘れ去られてしまうわけですから、悩み損な気がします。
投稿の間隔があいてしまうと、その次の投稿するときも敷居が高くなってしまう人も多いみたいですが、この辺も縄跳びに入るタイミングがつかめずに永遠に入れない人みたいな感じですから、あまり深く気にせず、何度かロープに引っかかりながら、だんだんタイミングを合わせて行けばいいのではないかと思っています。
このように「継続的な情報発信が難しい」という問題は、ネット上のブログ・SNSと共通する問題かもしれませんが、会社のリソースを使って、勤務時間中に記事を書いたりするということで、イントラブログ・SNSの方が制約は遥かに大きいいので、運営をする側はこういう制約を少しでも取り除く努力をし続けることが重要だと考えています。
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2006年06月
私が所属するNEC 企業ソリューション企画本部では、Web2.0時代の新しい情報共有・コミュニケーションの仕組みとして全社共通のプラットフォームを構築するべく、2年近く前からイントラブログ・SNSを実践してきています。参加者達は、このブログ・SNSの活用により、非常に貴重なエクスペリエンスを積み続けてきており、ネットの世界で起こっている新しい潮流のミニュチュア版をイントラネット内で実体験することにより、素肌感覚で新しい潮流を感じとりはじめています。
このことは、enNetforumの第2回「SNS, blog, RSS, Wiki等を活用した業務改革研究会」(2006年3月2日)でも「社内ブログ活性化奮闘記」としてご紹介させていただきましたが、その後の状況の変化や新たに行った試みなども含めて、この場で少しずつご紹介させていただこうと思います。
【導入時期・目的・利用ソフト】
導入したのは2004年の9月で、ブロードバンドソリューションの新事業を企画開発する部署を中心に40人程度の有志で実験的に利用を開始しました。当初の導入目的はブログ・SNSとその関連技術の実証実験です。某ベンダーのご厚意でα版のソフトを試用目的で無償提供していただき、それを今日にいたるまで利用し続けてきています。このソフトは、IDとパスワードによって利用者の認証を行い、IDを持っていないと閲覧をすることも出来ませんでしたので、ブログというよりはSNS的な側面の大きいソフトです。
私は、ブログは「不特定多数に対する情報公開」なのに対して、SNSは「特定の相手とのコミュニケーション」と整理して考えていますが、ツールという観点からすると、最近はブログソフトのベンダーもSNS的な機能を組み込みはじめていて、それを「ブログ」と称して販売している場合がありますので、明確な線引きをするのは難しいですし、それにあまり意味があるとも思えません。ここでは、敢えて区別をせずに、ブログ・SNSとひと括りにして扱うようにしたいと思います。
【運用と管理】
サーバの運用はコストをかけずに完全にボランティアベースで行ってきました。コンテンツのバックアップを行うような体制もありませんでしたので、ディスクがクラッシュでもすればすべてのブログ記事が消滅してしまう、そんな状況で1年以上もの間、運用を続けてきました。ブログのIDを登録したりグループを作ったりすることの出来る「管理者」は、常に全利用者の1割程度存在していて、それらの複数の管理者達による”ゆるい”運営を行ってきた、というのが一つの特徴だと思います。
【利用者の増加、利用の活性化】
私自身は、2005年の5月に人事異動があり、それ以後このイントラブログ・SNSを活性化する羽目に陥ったのですが、当初の利用者数は100名程度で、オープンなブログとしては一日に1件の投稿があるかないかの開店休業状態、一部、クローズドなグループブログで情報共有に使われているという程度の利用状況でした。その後、イントラブログ・SNSを活性化するために様々な施策を繰り返した結果、クチコミで徐々に利用者が増加し、1年間で500人くらいの新しい利用者が使い始め、その1割強がアクティブな利用者として積極的な記事投稿を行うようになっています。
特筆すべきことは、利用者の増加は全てクチコミで行われており、トップダウンで業務として強制的に使わせるというような支持は一切行われていないということであり、この辺はmixiやgreeなどネット上のSNSの広がりと共通点があるかもしれません。このような現象は、日本の大企業の中ではこれまではほとんど考えられなかったことなのではないでしょうか。enNetforumの研究会でも、珍しい事例ということで、多くの方々に関心を持っていただけたようですので、今後このブログ上でも出来る限りオープンに情報公開をしていきたいと思っています。
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2006年06月
アメリカの心理学者マズローの欲求段階説には、実は6段階目があって、それは「コミュニティの発展」だったという説があります。
コミュニティ発展欲求(Need for Community Development):
地域社会や国家そして地球全体など、自分が所属するコミュニティ全体の発展を望む欲求
皆さんご存知だと思いますが、マズローの欲求段階説は「人間の欲求は低次元のレベルから始まり、段階を経てより高次元のものへと昇華されていく」というもので、下位の欲求が満たされてはじめて上位の欲求を感じるようになるのだそうです。これまで5段階の欲求として提唱されていて、「自己実現の欲求」が最高位の欲求として知られていました。しかし、「マズローは晩年になってから実は6段階目を付け加えようとしていた」ということをマズローの周囲にいた人が最近になって証言したのだそうです。
敢えて6段階目をマズロー本人が発表しなかったのは、当時の冷戦下で「共産主義者」のレッテルを貼られることを恐れたからだそうですが、詳しいことは、
・海上周也さん「コラム「研究員のココロ」
・国生理枝子さん「マーケティングフォーラム」
などでも紹介されていますので、ご参照いただければと思います。
この6段階目の欲求説を「本当にマズロー自身が言ったのか?」という真偽はともかくとして、私自身は結構当たっていると思うので、信じようと思っています。つまり、自己実現をした個人が次に望むことは、自分が所属するコミュニティの発展であり、そのコミュニティが発展できるように貢献をしていくのだろうと私は思います。
食べることさえままにならない状態では、周囲のことなど構っていられないのは当然のことだと思います。会社に貢献するのは地位や評価を上げて少しでも多く収入を得られるようにするためだという考え方が日本の高度成長を支えてきた世代の行動原理となっていたのだろうとも思います。しかし、ある程度豊かな世の中になった今日、そんな死ぬほど働かなくったって食うには困らないし、会社に忠誠を尽くして一生を捧げるというような時代ではなくなってきています。「人は何のために働くのか?」とか、「会社や組織とどういう関係を保っていけば良いのか?」などと疑問を持ち始めている人達は多いのではないでしょうか。
このコミュニティ発展欲求がインターネットというインフラと結びついたものが、オープンソース、マスコラボレーションといったWeb2.0の潮流となって現れているのだと私は考えています。オープンソースコミュ
ニティに参加し、報酬をもらわずにプログラミングを行うハッカー達は全世界で300万人いると言われています。国内のSNS利用者は1年間で6.5倍に増加しているそうです。時間・場所といった物理的な制約が取り去られたことにより、不特定多数無限大の人達による果てしなく巨大なコミュニティが発展し、そこでは日々ワクワクするようなエクスペリエンスをすることができる。それがWeb2.0の世界なのでしょうね。
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