ネット上の有名ブロガーの方々から、「ブログを書くと運が向いてくる」というような話を良く聞きます。私の周辺でもこの1年間かなりアクティブに社内ブログを使ってみて、この説はアクティブユーザの間では納得感が大きいと話し合っています。分からない人達にブログの良さを説明するには、「運が向く」という言葉は分かりやすいと思いますが、この話は実は「運」という言葉だけで済まされてしまう現象ではなく、実はWeb2.0の潮流の本質をついているのではないかと私は考えています。
はてなの近藤さんが書かれている「ブログで人材採用」の話を例に取ってみましょう。私の同級生の中島聡さんも、以前、「就職・転職活動にブログを利用すべき時代が来ている」で興味深い記事を書いていましたので、まずはご一読いただれば幸いです。
学生の側からしてみれば、
「ブログを書くようになってから、だんだん運が向いてきてさ、希望する会社に就職出来ちゃったよ。
社長がたまたま僕のブログを読んでくれたらしくてさ。」
ということなのだろうと思いますが、実は、ベンチャーの社長さん達は応募してきた学生のブログに目を通して採用するかどうかの参考にするのがかなり常識になってきているという実情があります。中小、あるいはもしかすると大企業の採用担当者もそうなりつつあるか、近い将来、そうなってくるかもしれません。「価値のある情報を発信する」ということが、就職市場では一つの評価基準であり、その発信された情報から浮かび上がってくる人格がもっと重要な評価対象となります。これまでは、それが就職面接という限られた時間でしかできなかったものが、今後ブログなどのツールにより、より多くの情報を集めて、それらをベースに評価をすることがますます簡単にできるようになって行くだろうと思います。
最近は、同じことが企業の中でもがどんどん起こり始めており、自分が関わっている業務の内容や、これからやりたいと思っていることなどについて社内ブログに情報発信をし続けていると、周囲に色々な人たちが集まってきてソーシャルネットワークが出来上がり、どんどん仕事がやりやすくなってきたりしています。そのこと自体がまた周囲からの評価を高めることになり、それまで認めてもらえなかった提案が通るようになったり、一緒に仕事をしてくれる仲間が増えたりして、正のサイクルが生まれたりします。ブログを巧みに使っている企業では、企業対企業や企業対顧客の関係でも同じことが起こっていることに気がついているはずです。これからは、どんどん加速していくのではないでしょうか。
私は、「ブログを書けば書くほど運が向いてくる。」と思っています。本当に価値のある情報が10個に1個しかなかったとしても、まず、継続的に情報を発信し続けるということが、自分の価値を高める。それがブログの世界だと考えています。昔は情報を持っていること自体が大きな価値でした。情報そのもののコストが高く、「対価を払わなければ情報は渡さないよ」という人の周りにたくさんの人が集まってきました。多くの宗教もそういった価値のある情報をコントロールすることにより発展してきたと聞いたことがあります。
しかし、インターネットがそれを変えました。世界中の人がネット上にどんどん価値のある情報を無償で発信するようになり、今はほとんどどのような情報もネット上で探せるようになってきました。情報のコストは劇的に安くなりました。
「対価を払わなければ情報は渡さないよ!」
などと言えば、
「いいよ、他から入手するから。ネット上で探せば大抵のことは分かるからね。」
と言い残して、集まっていた人々は離れていってしまうことになります。価値のある情報を豊富に持っていても、「忙しくて暇がないから」というような理由で情報発信をしない人についても同様です。
逆に価値を持つのは、「無償で、継続的に情報発信をし続ける人」です。その人の「そばにいてウォッチしていれば、他の人よりも早く価値のある情報を入手できる」というわけです。だから、情報を入手できるスピードというのが、重要なファクタになります。いち早く価値のある情報を入手するためには、コミュニケーションが必要になります。Give & Takeの世界ですから、コミュニケーションが活発になることにより、周囲に集まってきた人達から逆に価値のある情報が集まってきて、そのサイクルがどんどん増幅されていくでしょう。継続的に情報を発信し続けることにより、周囲に強力な人間関係が出来上がり、ソーシャルデータベースが構築されていきます。まさにWeb2.0の世界ですね。
こういったことが、「ブログを書くと運が向いてくる」カラクリなのではないかと私は思っています。




